杉井 静子 弁護士(所長)
弁護士登録年
1969年(昭和44年)
ご挨拶
1969年に弁護士になってから、今年で54年目を迎えます。
女性弁護士が数少ない時代から仕事をしていますので、自然と女性の離婚事件の依頼者が多くなり、その上、平成25年1月から施行された家事事件手続法の立法過程に法制審議会委員として参加したので、家事事件(離婚、DV、子の引渡し、面会交流、子どもの虐待、成年後見etc)は専門分野と言えます。
審議会の中で、私ども弁護士会側が提案し実現した「子ども手続代理人」は私が約20年も前に『自由と正義』誌上で提起した「子ども代理人」の端緒的形態であり、法改正に寄与できたことを嬉しく思っています。日弁連との協議で最高裁もこの制度の積極的利用を裁判所間に周知させました。是非子どもの人権福祉を守る立場から弁護士の活用を期待します。
セクハラが社会的に大問題になっていますが、私は1989年に全国で初めての第二東京弁護士会のセクハラ110番に関わったことを契機にセクハラ問題に長くとりくみ、セクハラ・アカハラ・パワハラも私の専門分野になっています。
あらゆる人権侵害を許さない、とりわけ弱者の人権を守るという気持ちで活動してきました。
ジェンダー平等、女性の人権、子どもの人権、高齢者の人権は私自身が3人の子を育てながら弁護士活動をしてきた体験も生かして今後とも力を注ぎたい分野です。「上から目線」ではなく、市民目線でみなさまのニーズに応えたいと思います。
今後とも既存の「法律」から出発するのではなく、市民の人権を抑圧し、市民のニーズに合わない「法律」は改正すべきとして法改正、立法化にも取り組むつもりです。
家事事件手続法の施行や最近では、成年後見人利用促進法も出来て家庭裁判所の役割は一段と大きくなりました。そのために家庭裁判所の裁判官や職員を増やす等、司法基盤の充実についても力を入れて取り組んでいきたいと思っています。長いこと東京地方・家庭裁判所立川支部管内で活動してきました。立川支部の本庁化もなんとしても実現をしたい課題です。家庭裁判所の出張所を増やすなどは全国的な課題です。
若い頃から女性の権利、子どもの人権等の学習会、憲法の講演会の講師をやってきました。市民の人権意識向上・立憲主義を根づかせる学習会講師活動も積極的に引き受けるつもりです。最近出版した「ジェンダー平等社会の実現へ」では日本のジェンダー不平等は戦前の家制度の名残りであることを解明しました。ジェンダー平等を考える、憲法の平和原則はジェンダー平等と一体のもの等、おしゃべりカフェなど少人数の集まりにも気軽に声をかけてください。
略歴・諸活動等
- 1967年 中央大学法学部卒業
- 1969年 弁護士登録 三多摩法律事務所に入所(2000年3月まで在籍)
- 1990年 立川簡易裁判所 民事調停委員(2016年3月まで)
- 1990年 日本弁護士連合会 女性の権利に関する委員会委員長
- 1991年 第二東京弁護士会 両性の平等に関する委員会委員長
- 1992年 第二東京弁護士会 副会長(女性初)
- 1993年 日本弁護士連合会 常務理事
- 2000年 4月に国立市に杉井法律事務所を開設
- 2001年 第二東京弁護士会 多摩支部長
- 2002年 都留文科大学 非常勤講師/ジェンダー論(2014年まで)
- 2003年 日本弁護士連合会 常務理事
- 2005年 関東弁護士会連合会 理事長(女性初)
- 2008年 日本弁護士連合会 家事法制委員会 委員長(2013年5月まで)
- 2009年 4月にひめしゃら法律事務所開設(所長)
- 2009年~2011年 法制審議会(非訟事件・法家事審判法部会)委員
【現在】
- 全国革新懇 代表世話人
- 三多摩革新懇 代表世話人
- 第二東京弁護士会 仲裁センター 仲裁人候補者
- 労働者教育協会 副会長
- 関東弁護士会連合会 地域司法充実推進委員会 委員
- 第二東京弁護士会 多摩支部 両性の平等に関する委員会
- 第二東京弁護士会 多摩支部 本庁化本全化推進本部委員
主な担当事件/弁護団
- 教科書裁判、日産家族手当男女差別裁判、ケンウッド子もち女性配転解雇裁判
- 他に多数の労働事件、セクハラ事件、医療過誤事件、離婚事件等を担当
著書
- セクシュアル・ハラスメント処方箋(アドア出版)
- オフィスにもちこまれる性(大月書店/共著)
- 世界から見た日本の女性の人権(共著)
- 事件に見る親と子の余白(新日本出版社)
- 新しい法と自分らしい生き方(新日本出版社)
- 私たちの憲法学習(新日本出版社/共著)
- あなたと考える憲法・国民投票法(ケイ・アイ・メディア)
- 格差社会を生きる -男と女の新ジェンダー論-(かもがわ出版)
- たかが姓、されど姓-家族の変化と民法改正の焦点-(かもがわ出版)
- 家事事件の要件事実(日本評論社/共著)
- ジェンダーが招く共生社会(論創社/共著)
- 家事事件手続モデル書式・文例集(新日本法規出版/編集代表)
- 子ども手続代理人(岩波書店『世界』2015年4月号)
【近著】
- ドキュメント離婚事件(新日本法規出版編著)
- ジェンダー平等社会の実現へ-「おかしい」から「あたりまえ」に(日本評論社)
趣味
- 山菜・野草採り 山菜・野草創作料理
コラム
- 「言葉によってつながるからこそ人間!
100回目 所長のつぶやき」 - 「司法予算と軍事予算を比べてみると...」
- 「自然と人間の共生㉑:民衆の歴史から学ぶ」
- 「自然と人間の共生 ⑰:慣れこそ怖いものはない?」
- 「近頃思うこと -安倍政権の独裁ぶり」
- 「夫婦同姓を強制する民法は違憲?」
その他・最近の活動
- 沖縄県調停協会主催調停委員研修会で「調停における両性の平等と子どもの権利」を講演(2017年12月)
- 静岡県弁護士会浜松支部主催「やらまいか労働審判」市民集会で「労働審判を支部で実現することの意義」を講演(2017年3月)
- 羽村9条の会、憲法カフェで「自民党の婚姻家族観」を講演(2017年6月)
- 「学習の友(月刊誌)」で「自然と人間の共生」をテーマにするエッセイを連載中(2017年4月号から)
- 非正規ではたらくなかまの全国交流集会「女性の活躍」施策を憲法の視点で考える分科会助言者(2018年6月)
- 東京ウイメンズプラザ交流 平成30年度職務関係者研修「女性への暴力をなくすために~法制度と社会背景」(2018年5月、6月)
- 日本婦人団体連合会総会で記念講演「安倍政権の改憲の策動とジェンダー平等」(2017年12月)
- 吉川9条の会講演「戦争をささえる「人」「家庭」「地域」づくりをさせないために」(2018年3月)
- 婦人民主クラブ創立77周年記念講演「女性が輝いて生きられる社会へ」(2023年3月12日)
- 婦民新聞(月3回発行)に連載エッセイ「ひめしゃらのつぶやき」執筆中(2022年4月から~)