コラム42:戦後70年
2015.6.1 事務局員 日下 努
みなさんもご承知のように、今年は戦後70年の年となります。
それとあまり世間的に話題にはなっていませんが、昨年は第1次世界大戦勃発(1914年)から100年が経ちました。第1次世界大戦をテーマにした特集番組をNHKのBS放送等では放送していました。また、ヨーロッパ各地でも記念行事が行われていました。
100年前の世界大戦は、オーストリアの皇太子が暗殺されたことをきっかけに始まり、オーストリア・ドイツ・オスマントルコ等の同盟と、イギリス・フランス・ロシア等の連合が繰り広げた大戦争となりました。ヨーロッパで始まった戦争がアフリカやアジアといった世界各地にも拡大し、総力戦と呼ばれる国力を総動員した戦いになったことが特徴とされています。また、毒ガスや飛行機・戦車等の登場にみられるように科学の発展が、戦争の被害をいっそう拡大させ、未曾有の惨禍をもたしました。
当時日本は、イギリスとの軍事同盟である「日英同盟」に基づいて、中国や南太平洋の島々のドイツ領に対して、軍事侵攻・占領をしました。このように軍事同盟が自動的に戦争参加の装置となっていました。
そして第1次世界大戦の教訓がいかされないまま日本と世界は、日中戦争・太平洋戦争と第2次世界大戦へと突き進むことになります。これらの教訓は、大国の支配を許さない、民族自決権・人権の尊重、戦争の違法化等々があげられます。
日本は戦後のスタートラインとして日本国憲法を制定しました。現在の憲法です。言うまでもなく、戦前の反省の上に、主権在民を規定し、軍備も含め戦争放棄等が明記されました。
現在、安倍さんは国会内における虚構の多数議席を力に憲法を改悪して、アメリカとの軍事同盟機能をいっそう強化し、安保法案(戦争立法)を制定させ、集団的自衛権を行使できるようにして本格的に自衛隊の海外派兵を企んでいます。また、国内では秘密保護法にみられるような国民の声を封じ込むための国民監視の法制度を作ろうとしています。
20世紀に2度にわたる大戦争の教訓から学ぼうとしない姿勢では、明るい未来はみえてきません。とりわけ日本は、アジア太平洋地域で引き起こした戦争によって甚大な被害を与えてしまった戦争加害者であり、憲法9条を投げ捨てることには周辺諸国から強い懸念の声を上がっており、軍事的緊張をつくり出す要因となります。
今年3月に来日したドイツの首相は講演で「過去の総括が和解の前提」であり、同じ戦争加害国であったドイツの経験をふまえて過去ときちんと向き合うことが国際社会に受け入れられるためには必要であると強調していました。
戦後70年の節目に日本の姿勢が問われる1年となります。