コラム45:イギリス流合理主義
2015.10.1 弁護士 大出 良知
先日、久しぶりに資料収集を兼ねてイギリスへ行ってきました。前回は、ロンドンオリンピックの直前でしたから3年ぶりということになります。オリンピックが直前に迫っているという印象はほとんどなく帰ってきましたが、今回、ロンドンのホテル代が、軒並み前回の2倍から3倍に跳ね上がっていてビックリしました。オリンピックの影響かもしれません。しかも、ポンドが、前回130円台だったものが、今回は180円台になっており、オリンピックとの関係は分かりませんが、閉口しました。
それはともかく、イギリスへ行くと毎回イギリス流合理主義に感心させられることがいくつかあります。実は、イギリス料理もそうだと思っているのですが、その話をしだすと長くなりますので、別のことを1つ。
それは鉄道運賃のことです。ガイドブックなどにも、そういうことがあるということは載っていると思いますが、日本から乗り放題のレイルパスを買っていったり、ツアーでバスを利用したりすると分からないと思うことです。そもそも、鉄道運賃は、往復で買うのと片道で買うのとほとんど変わらないとか、特急列車(インターシティ)だからといって特別料金が取られるわけではない、といったことがあるのですが、さらに、同じ区間を同じ時間で走る列車によっても運賃が違うということです。正確には、休日かウィークデイによっても違いますが、要は、発車時刻が、ピーク時かオフピーク時かということが基本だと思いますが、さらに細分化されています。
今回も、中西部にあるイギリス第二の都市バーミンガムから、ロンドンのターミナル駅(ユーストン)まで、ウィークデイの11:10発のインターシティのチケットを買おうと思ったところ、その列車だと片道約50ポンドだけど、それより20分早く出る列車だと約27ポンド、20分遅く出る列車だと、約15ポンドだというのです。そう急ぐ旅でもなし、もちろん一番安いチケットを買いました。
さらに言いますと、座席指定料金は取られませんし、座席指定車があるわけではなく、同じ車両の中に指定された座席があるということで、日本のように、自由席が満員なのに指定席車がガラガラというようなことはありません。
一事が万事というわけではありませんが、いつもながら日本にももう少し合理的に考えてみるべきことがあるのではないかと思わせられることの1つです。