コラム30:近頃思うこと-安倍政権の独裁ぶり
2013.12.25 弁護士 杉井 静子
北朝鮮のナンバーツーであった張成沢氏が「国家転覆陰謀行為」で処刑されたとのニュースに衝撃と戦慄を覚えました。金正恩による「恐怖政治」が強まるのは必至ともいわれています。
今どき、こんな独裁政治がまかり通るのか!と憤りを感じます。しかし「待てよ。日本は大丈夫か?」と思ってしまう昨今です。
2013年12月6日に「秘密保護法」が強行成立させられました。この法律の一番怖いところは、何が「秘密」かが曖昧なところ。そして「秘密」は行政機関が決められるのです。また、情報を得ようとした市民も共謀、せん動、教唆の罪で罰せられます。自民党の石破茂幹事長はブログで「反対を叫ぶデモはテロ行為と変わりない」と発言していますから、政府の政策を批判すること自体が罰せられかねません。しかも、数多くの疑問や懸念が言われていたのに、超スピードで、数の力で押し切る強行採択は民主主義のルールに反する暴挙です。
その上、安倍内閣は「共謀罪」の創設を検討していると言います。共謀罪は、重大な犯罪にあたる行為を、「団体の活動」として「組織により」実行しようと共謀するだけで実際に行動を起こさなくても罰するものです。
東大教授の石田英毅さんによると、安倍首相が展開しているのは理性にではなく「イメージの政治」。人々の感性に働きかけ良いイメージを持ってもらうことで、政治を動かすことを狙っている。国民は政治ショーを見ている観客と化している。その上、新しい情報を入れるために、古い記憶はどんどん消去されていく。いまやメディアは、出来事を人々に認識させる伝達装置であると同時に、片っ端から忘れさせていく忘却装置となっている。私たちは忘れっぽくなって、その結果「政治は変えられない」と諦めている。安倍政権は、この諦念をうまく原資にして政治を動かしている。という趣旨のことを言っています(『朝日新聞』2013年10月18日付 今こそ政治を話そう「安倍さんという気分」)。
だとしたら、秘密保護法が強行成立させられた2013年12月6日を私たちは決して忘れてはならない。怒りと運動を持続させましょう!そして「イメージの政治」の仮面をはぎとり独裁者の顔を暴露するための民主主義的感性をみがきましょう!
法律が成立した後でも、法律に反対する広範な世論が存在します。12月7日付の朝日新聞の世論調査によると、秘密保護法の国会での議論が「十分でない」が76%に達し、反対は51%、賛成24%です。法律が成立してもなお反対が多数を占めています。
私たちは主権者です。国民の多数が反対している法律は主権者である私たちの力で廃止できるのです。法律をつくるのも国会、廃止するのも国会です。安倍自公政権は次の選挙の頃には国民は忘れているに違いないと見くびっています。しかし、私たちは絶対に忘れない!出来るだけ早期に安倍内閣を退陣させ、私たちの一票一票で秘密保護法を廃止することが出来る国会をつくろうではありませんか。