最高裁判事の半数を女性にしたらいかが?
1 今日は憲法記念日。それにふさわしく、ちまたではあまり議論されていない、最高裁と男女共同参画のお話をひとつ。
2 ひと月ほど前に、世界経済フォーラム(MEF)が発表した男女平等ランキングによると、男女平等の達成度は、日本が156か国中120位だとか。世界の先進国はおろか、開発途上国にもおよばないお粗末な実態が、世界中の批判の目にさらされることになりました。
3 マスコミは、こぞってこの恥ずかしい男女不平等の実態を何とかしようと、連日のように特集を組んだり、頑張っているのですが、それでもなかなか取り上げられないのが、司法における女性裁判官の数、とりわけ最高裁判所における女性裁判官の数の少なさの問題です。
4 最高裁判所の裁判官の数は、15名。ですから、人口における男女比で考えれば、7人から8人の女性裁判官がいてもおかしくないはず。ところが、日本国憲法ができてから約半世紀の間、最高裁判所には女性裁判官が一人もいなかったのです。完全な男社会だったわけですね。
それが、社会の男女平等の波に影響され、1994年にやっと一人女性官僚を最高裁判事に任命。その後2013年、女性弁護士の鬼丸かおるさんが最高裁判事に任命されて女性が3名になったのをピークに、定年退官により、現在2名となり。今年7月にさらに1名が定年退官するため、その後は女性判事がたった1名と、男女平等の歴史を逆戻りしかねない状況になってしまいました。
5 かく言う私も、実はこの前まで、「良い判決を書く裁判官であれば、別に男性でも女性でも、どちらでも良くない?」と、軽く考えていたのが正直なところ。
それが、2015年に出た「夫婦別姓訴訟」の最高裁判決を見たとき、私ははっとしました。夫婦の同姓を義務付ける民法の規定が、憲法に違反しないとした最高裁の多数意見に対して、3名の女性裁判官全員が期せずして、夫婦同氏に例外を認めない民法の規定は、憲法24条(両性の平等)に違反するという意見を述べたのです。
6 この3名の女性裁判官は、それぞれ官僚、学者、弁護士と、経歴は違うものの、仕事と家庭を持ちながら、様々な問題や葛藤を抱えながら、誠実に自分の責任を果たそうと頑張ってきた人たちに違いありません。そんな、女性だからこそ強く感じてきた社会の不公正への怒りが感じ取れる少数意見に、私も強い共感を覚えたのでした。
7 この経験をきっかけに、私はチコちゃんに怒られるまでもなく、「ぼーっと生きててはダメ」だわと、最高裁判所の半数を女性判事にしよう、と考えるようになりました。そんな折も折、「今年は5名の最高裁判事が定年退官するから、その5名の後任裁判官を女性に!」という時期を得た要望書が、女性差別撤廃条約実現アクションという団体が呼びかけて、提出されました。私が理事の末席に名を連ねているWANという団体もこれに賛同し、去る3月15日に国会議員会館で記者会見、翌日の某新聞などで報道されました。やっとこさ最高裁の裁判官問題に、マスコミが目を向けてくれました。
8 アメリカで絶大な人気を集め、昨年9月に亡くなった、連邦最高裁の女性裁判官、ルース・ベイダー・ギンズバーグさん。性別に関する固定概念や異なる待遇が、男性側に悪影響を与えていることを、つとに述べておられました。そして、最高裁判所の全部の裁判官が女性になることが理想とも。
私たちの要求は、全員はおろか、最高裁の3分の1の裁判官を女性にと、内閣に求めているだけですから、なんて遠慮深く、謙虚なんでしょう!
皆様が、最高裁判所にも関心を向けてくださることを、期待しています。