演技と話し方
毎年7月には、社会福祉協議会のイベントで弁護士による講演会が実施されます。毎回、ただの講演だけではなくお越しになった方にも参加して頂けるクイズ形式の講演など、趣向を凝らして事前の準備を含め頑張ってきましたが、今年は寸劇を織り交ぜた講演になります。
タイトルは「弁護士が教える生活の落とし穴~ひめちゃん見聞録~」。
消費者問題、振り込め詐欺、遺言・相続・エンディングノートに関するトラブルを弁護士が寸劇を交えながら説明します。なお登場する弁護士役は私が演じます。
寸劇のシナリオ作成も当然、弁護士(つまり私)が行うのであり、本講演会の私の役どころとしては、演者兼脚本、演出ということになります。
さて、別に演技上手を気取るわけではありませんが、人と話をしたり、人の話を聞いたりが仕事の大きなウエイトを占める街の弁護士にとって、演技力というのは意外とバカにできない能力かもしれません。演技ではないですが、クライアントとのお話でもどのような表現・態度・抑揚でお話しするか、等にも気を遣います。相手方や相手方弁護士と交渉する際や相手方を法廷で尋問する際は、これは実際に演技をすることもありますが、どのように相手をおだてて話しやすくするか、話しやすくした上でどのように有利な証言者供述を引き出すか、ということには毎回腐心します。ただ、何も考えず普段の調子で聞いても、交渉相手も尋問対象もこちらが望むような話しはしてくれません。弁護士ですから、まずは法的知識の研鑽ですが、それを上手く表現できなければ、クライアントにも相手方にも裁判官にも伝わりません。伝わらなければ話していないのと一緒です。伝わる話し方の研究は法律の勉強と同じくらい大事でしょう。